
PANERAI(パネライ)の歴史と2つの傑作、ラジオミールとルミノール
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1. パネライとは?
パネライは、イタリア・フィレンツェ発の高級時計ブランドです。一見してわかる大きめのケースと、シンプルで男らしいデザインが特徴で、「ゴツくてかっこいい時計が欲しい!」という人にぴったりのブランド。
もともとは1930年代にイタリア海軍の特殊部隊のための軍用時計を作っていたメーカーで、暗闇でも見やすくて、水の中でも壊れにくいタフな時計が求められていました。そこで登場したのが、今も人気のモデル「ラジオミール」や「ルミノール」です。
近年ではハリウッド俳優やセレブが着けていることでも話題に。ファッションアイテムとしても存在感バツグンで、“ちょっと他の人とは違う一本”を探している人にも選ばれています。
2. パネライの歴史
2-1. 1860年:小さな時計店からスタート

1860年、イタリア・フィレンツェにて、ジョヴァンニ・パネライが小さな時計店兼時計学校を開業。これがパネライの始まりです。時計販売、修理、教育を一手に担うこの店舗は、当時としては画期的な存在で、地元でも評判の技術者として知られるようになりました。技術的な分野でも長けていたパネライはやがてイタリア海軍に照準器などの精密機器を納入するようになります。
2-2. 1935年:軍用時計「ラジオミール」の誕生

1930年代、イタリア海軍からの依頼を受け、パネライは特殊潜水部隊向けに耐久性と視認性に優れた時計を開発します。ブラックシール(黒アザラシ)と名づけられたその特殊部隊は、敵艦隊に対して奇襲攻撃をする部隊でした。 真っ暗闇(真夜中の水深10mの世界)でもはっきりと時間を読み取れる時計が必要だったのです。そんな時、白羽の矢がたったのが夜光塗料の特許をとっていたパネライだったのです。こうして1936年に誕生したのが、パネライ初の軍用時計「ラジオミール」。このモデルには、夜間の視認性を高めるために放射性物質ラジウムを使用した蛍光塗料Radiomir(ラジオミール)が採用され、過酷な海中任務でも正確な時間を確認できる構造になっていました。
2-3. 1950年:「ルミノール」シリーズの登場
放射性の懸念から、パネライはラジオミールに代わる新たな夜光塗料ルミノール(Luminor)を開発。1950年、この塗料を搭載した新たな軍用時計が誕生しました。このモデルには、今も象徴的な「リューズプロテクター」が装備され、防水性と操作性が大幅に向上しました。
この頃のデザインが、現代の「ルミノール」シリーズの原型となっており、クラシックとモダンを融合した名作として愛されています。
2-4. 1990年代〜:民間向けに販売開始

1993年、長らく軍用に限られていたパネライの時計がついに一般市場に向けてリリースされます。この「民間向けデビュー」は限られたコレクションから始まりましたが、その特異なルックスとミリタリー由来のストーリーが時計ファンの心を掴み、次第に注目を集めるようになりました。
特に1997年、リシュモン・グループ(旧ヴァンドーム・グループ)の傘下に入ったことでブランド戦略が一新され、国際的な展開が本格化。これが転機となり、2000年代初頭には“パネライ・ブーム”とも呼べる再ブレイクが起こります。
2-5. 2000年代〜:デカ厚ブームの火付け役に
当時は、40mm以上の大ぶりな時計が珍しかった時代。パネライの武骨な47mmケースは異彩を放ち、いわゆる“デカ厚”ブームの先駆けとなりました。特にラジオミールやルミノールは、クラシックでありながら無骨な存在感を放ち、ファッションやライフスタイルアイテムとしても人気を博すようになります。3. 代表的なシリーズの紹介



ラジオミールとルミノールの比較
パネライの代表的な2つのモデル、「ラジオミール」と「ルミノール」は、どちらもパネライを象徴する存在ですが、いくつかの違いがあります。デザイン、機能性、そして使用される技術において、それぞれに特徴があります。ここでは、これらの違いを比較してみましょう。
特徴 | ラジオミール | ルミノール |
---|---|---|
誕生年 | 1936年 | 1950年 |
ケースデザイン | 滑らかなラウンドケースデザイン | リューズプロテクター付きの角張ったデザイン |
夜光塗料 | ラジウム(放射線塗料) | ルミノール(夜光塗料) |
特徴的なデザイン | シンプルでクラシックな外観 | リューズプロテクターが目を引く、よりタフな外観 |
人気のあるサイズ | 42mm, 45mm | 44mm, 47mm |
現代的な使用 | ヴィンテージ感が強く、クラシカルで時計愛好家に人気 | モダンでスポーティー、ファッションアイテムとして人気 |
ラジオミールは、よりクラシックでシンプルなデザインを持ち、時間計測の基本的な要素に重点を置いています。一方、ルミノールはその機能性と耐久性に加え、リューズプロテクターがついていることから、より現代的でスポーティーな印象を与えるデザインです。
6. パネライの高い技術、その特徴は?
パネライといえば、大胆なデザインと男らしさ全開のスタイルが魅力ですが、それを支えているのは実は非常に高度な技術力。パネライが誇る代表的な技術について紹介していきます。6-1. リューズガードという独自機構
パネライの顔とも言える「リューズプロテクター(リューズガード)」。これは、1940年代にイタリア海軍のために開発された防水性を高める機構で、リューズをレバーで密閉することにより、水や衝撃からムーブメントを守ります。 他ブランドでは見られないこの形状は、パネライウォッチの象徴でありながら、実用性に優れた工夫が詰まっています。6-2. ケースの切削技術
パネライの時計ケースは、単なる鋳造ではなく、金属の塊から精密な“切削”を行って作られます。特に「ルミノール 1950」ケースでは、エッジを際立たせるために、通常モデルの倍以上の加工時間をかけてマシンで削り出されます。 さらに、ポリッシュ仕上げでは一般的なケースの約4倍の時間をかけ、職人が丹念に磨き上げることで、滑らかで艶のある美しい外観に仕上げられています。これによって、視認性・堅牢性・高級感をすべて両立しているのです。6-3. 軽くて強い新素材「カーボテック」
パネライは素材の研究にも余念がありません。近年話題となったのが「カーボテック」というカーボンファイバー素材。航空宇宙産業でも使用されるほど軽量かつ強靭で、個体ごとに模様が異なるマーブル調の質感が美しく、まさに唯一無二。 腐食や温度変化に強く、ダイバーズウォッチとしても非常に優れた特性を持っています。6-4. 自社製キャリバー「P.シリーズ」の実力
パネライは2000年代以降、ムーブメントの自社開発にも注力し、「P.9000」「P.6000」などの自社製キャリバーを次々に発表。中でも「P.9010」などは、3日間のロングパワーリザーブ、ツインバレル、スリム化された設計など、高機能と美しさを両立。 2005年に発表された「P.2002」は8日間以上のパワーリザーブ、水平表示パワーリザーブインジケーターなどパネライ初の自社ムーブメントにして、パネライの最上位機種として君臨するムーブメントです。7.パネライについての動画
本当にいい時計。パネライのルミノール ベース ロゴ 【THREEC CHANNEL 第220回】
THREECが考える、パネライの絶対的な3本の名作時計 【THREEC CHANNEL 第217回】
【パネライ】 サイズバランスが絶妙!サブマーシブル クアランタクアトロ 【THREEC CHANNEL 第164回】